要約: 自動マーケットメイカー(AMM)は、流動性プールに暗号資産を預けることで、誰でもマーケットを作ることのできるDeFiプロトコルです。スマートコントラクトによって信頼性の高い取引を行うことができ、流動性プールに流動性を提供することで収益を獲得することができます。
自動マーケットメイカー(AMM: Automated Market Maker)は、流動性プールに暗号資産を預けることで、誰でもマーケットを作ることのできるDeFiプロトコルです。
自動マーケットメイカーを利用するメリットは、スマートコントラクトによる信頼性の高い取引を行えること以外に、流動性プールに流動性を提供することで、収益を獲得できることが挙げられます。これは、「イールドファーミング」や「流動性マイニング」と呼ばれるサービスです。
- イールドファーミング:流動性を提供する対価として、取引手数料の一部や金利等の報酬を得る行為全般
- 流動性マイニング:流動性を提供する対価として、利息の他にガバナンストークンを得る行為
自動マーケットメイカーモデルを採用している分散型取引所は、ユーザから注文されたトークンのペアを交換する際、流動性プールからトークンを提供します。
流動性プールにユーザが暗号資産を預託する際は、ペアになった2種類をいっしょに預けます。ほとんどの場合、その2種類の暗号通貨の枚数の比率は、そのとき同じ価値になる分量の割合です。そうして、プールに暗号資産が預けられることによって、別のユーザは一方の資産を他方の資産に交換できるようになります。
自動マーケットメイカーは、CLOB(Central Limit Order Book)などのオーダーブックモデルのように、「Bid(売ることのできる価格)」と「Ask(買うことのできる価格)」によって価格が決定されるのではなく、数式を用いた計算によって、需要と供給に対応した価格をスマートコントラクトが自動的に割り出します。
定数関数マーケットメイカー
最もシンプルな自動マーケットメイカーは、Uniswapが採用しているコンスタントプロダクト(Constant Product Market Maker)モデルです。これは、2つの資産の金額を掛け合わせた数値(※)を一定に保つことで、資産の価格を自動調整するやり方です。
コンスタントプロダクト以外にも、Balancerの「コンスタントミーン(Constant Mean)」、Curveの「ハイブリッド(Hybrid)」、mStableの「コンスタントサム(Constant Sum)」など、様々なモデルがあります。
こうした仕組みを総称して、定数関数マーケットメイカー(CFMM: Constant Function Market Makers)と呼びます。先ほど例に挙げたモデルはすべて、定数関数マーケットメイカーの一種です。
定数関数マーケットメイカーは、次の参加者で構成されます。
- トレーダー
- 流動性プロバイダ(LP)
- 裁定取引者(アービトラージャー)
トレーダーは、ある資産を別の資産と交換する人。流動性プロバイダは、「イールドファーミング」をする人。裁定取引者は、アービトラージを行う人のことです。
アービトラージとは、ある資産の価格に他の取引所との差が生じたとき、2つの取引所間の価格差で利益を得ようとする行為を言います。裁定取引者(その多くは、自動プログラム)は、資産に価格差が生じたときに安価に購入して、高値で売却するわけです。そうして、その資産の価格は市場平均に近づいていきます。
※多くの自動マーケットメイカーで採用されているコンスタントプロダクトモデルでは、計算式「x * y = k」が用いられます。この式は、定数関数(Constant function)と呼ばれています。このモデルの設計では、プール内の流動性の総量(k)を一定に保つ必要があります。流動性(k)は、資産Aの価値と資産Bの価値を掛け合わせた数値に等しくなります。