要約: フラクショナルNFTは、所有権を複数のトークンに分割したNFTです。トークンはそのNFTの所有権の一部を保有している証明になります。高額商品を所有しやすくなりますが、管理面のガバナンスが難しいほか、証券と見做されて証券法で今後規制される可能性は否定できません。
フラクショナルNFTは、所有権を複数のトークンに分割したNFTです。
トークン所有者は、そのNFTの所有権の一部を持っていることになります。
フラクショナルNFTの生成は、NFTをスマートコントラクトにロックしてERC-20またはERC-1155トークンを発行する、Fractional.art(現Tessera)のプロトコルがデファクトスタンダードとなっています。

このサービスによって、一般的には分割できないNFTを複数人で共同所有できます。
NFTアート収集を目的とする自立分散型組織PleasrDAOや、NFTアートのオークションでグループ入札を可能にするプロダクトPartyBidなどでは、Fractional.artのフラクショナルNFTの仕組みが利用されています。
主にアート分野で活用されているフラクショナルNFTですが、NFT化したものであれば何にでも応用できます。例えば、不動産を分割するセキュリティトークン(STO)を想像してみてください。トークン化するという意味ではフラクショナルNFTもSTOも同じで、ここでの違いは、担保となるのがNFTか不動産かというだけです。
このように、個人による購入が高額で難しい場合でも、商品の一部を購入・所有しやすくなるメリットのあるフラクショナルNFTですが、複数人で管理するが故のガバナンスの難しさがあります。また、NFTがトークン化して代替可能となることから、証券と見做されて証券法で今後規制される可能性は否定できません。
Fractional.artは2022年9月6日現在、Tesseraへの移行を進めています。Fractional.artプラットフォームは将来的に廃止され、Tesseraに引き継がれるそうですが、フラクショナルNFT化サービスは継続して提供されることが公表されています。