要約: ガスは取引の実行に必要な手数料です。燃料、とも表現できます。ガスが無いと取引処理は走りません。これは、悪意のある大量の取引やスパムの抑止に繋がります。取引内容が簡単なほど、ガス代は安価になります。支払われたガス代は、マイニング報酬としてマイナーに配布されます。
ガスはトランザクション(取引データ)処理を走らせるために必要な、燃料のようなものです。ガスがなければ取引は完了しません。支払われたガス代は、マイナー(採掘者)がマイニング報酬として受け取ります。
ブロックチェーンの各ブロックに格納できる情報量には制限があります。取引の種類によって、処理に要するブロックの容量は様々です。実行する取引の種類に応じたガス代を、ユーザは支払います。ガス代は常に、ネイティブトークン(ネットワーク固有の仮想通貨)によって支払う必要があります。
単にトークンを送受信するだけなら、スワップ(交換)のような複雑な処理よりもガスの使用量が少なく、その分料金が安くなります。ただし、ガス料金はその時のネットワークの混み具合によっても変動します。


イーサリアムの場合、現在のガス料金の目安はEtherscanの「Ethereum Gas Tracker」や、ethereumpriceの「Ethereum Gas Charts」などのサイトで確認できます。上の画像は、後者のスクリーンショットです。
イーサリアムネットワークでガス代の支払いに用いられるトークンは「ETH」です。取引を行うためには、ガス代の支払いに十分なETHがアドレスに保管されていなくてはなりません。
スマートコントラクトが実行されるとき、取引の内容に応じてガス代が計算されます。
すべての取引にガス代というコストがかかることは、ネットワークの保護に繋がります。悪意のある大量の取引やスパムでシステムに負荷をかけるなどの攻撃を、抑止することができるからです。
2種類の「ガスリミット」
取引の際、「ガスリミット」を指定することもできます。これは、取引で支払うガス代の上限を設定するための機能(トランザクション・ガスリミット)です。
この機能によって、スマートコントラクトの実行に失敗して多額のガス代を支払う危険を回避できます。それは、ネットワークの計算能力の浪費を防ぐことにも繋がります。
それとは別で、各ブロックに含めることのできるデータ量の上限を設定するために、ガスリミットが設けられてもいます(ブロック・ガスリミット)。こちらはユーザが操作できる機能ではなく、開発側で設定するものです。
ブロック・ガスリミットを上げることで、1度の取引で行える作業が増え、その結果ネットワークの混雑が解消、取引コストが低減されます。ただし、作業量が増えるということは、マイナーへの負担が増えるということです。マイニングへの負荷を考慮しつつ、ブロック・ガスリミットの設定値は慎重に決定されています。
ガス代はGwei(ギガwei)という単位で表されます。1 Gweiは10^(-9)ETH(※)に相当します。
※1 Gwei = 0.000000001 ETH