POAP(ポープ)は、イベント参加者が「その場にいた」ことを証明するNFTです。
xDAIというEthereumサイドチェーン上に展開されていて、発行・受取ともに基本はガス代不要です。個人/企業に関係なく、ユーザはPOAPを自由に発行・受取できます。
「バッジ」と呼ばれるPOAPのNFTを発行したことのある企業には、Bankless DAO、CoinGecko、Decentraland、SushiSwapなどのクリプト関連の名前が多く並ぶなか、adidasのような往年の大会社も含まれます。
今日は、仮想通貨・NFT関連イベントでよく利用されるPOAPの発行方法ともらい方を解説します。
POAPの使いかた
バッジを発行する
まずは、公式サイトトップページの「Create your first POAP」を選択します。

続いて、「Create Drop」画面でバッジの詳細情報を入力していきます。

What are you commemorating? | イベント名を入力します。※入力必須、150文字未満 |
What do you want people to remember about this drop? | POAPの説明欄です。内容やドロップ(配布)方法を入力します。 ここに入力したテキストはNFTのメタデータに保存され、POAPモバイルアプリとPOAPエコシステム全体に表示されます。※入力必須、テキストは英語のみ利用可能 |
City/Country | 配布場所を入力します。 仮想空間での配布の場合「Virtual Drop」を選択できます。 |
Start Date/End Date/Expiry Date | 配布開始日/配布終了日/有効期限を設定します。 「Multi-day Drop」を選択すると、「End Date」で複数日間に渡る配布設定を行えます。 |
Do you have a website attendees should visit? | 参加者に見てほしいウェブサイトを入力します。 |
Template | テンプレートを選択します。 不要な場合はStandard TempleteのままでOKです。 |
POAP artwork | POAPの画像をPNGまたはGIFで選択します。※選択必須 POAP発行後、画像の変更・編集は行えません。500×500ピクセル、丸型、200KB以下が推奨されています。画像の最大容量は4MBです。 |
Edit Code | 編集用コードです。(自動入力されます) ドロップ内容の更新を行うには、6桁のEdit Code設定が必要です。 |
What is your email? | Eメールアドレスを入力します。※入力必須 ドロップ設定確定後にメール通知が届きます。 |
How many mint links do you need? | ミント数を入力します。※最大50,000 |
Private Drop | 非公開設定のON/OFF機能です。 このボックスにチェックを入れてドロップすると、ドロップリストに表示されません。 また、将来的にバッジの削除が行えるようになります(2022年7月20日現在、ミントしたバッジを削除することができません)。テスト配布の場合はチェックを入れましょう。 |
設定が終わったら、画面最下部の「Save」を押します。
以上でバッジの発行は完了しました。続いて、配布までの流れを見ていきます。
今回のテストでは、NFTのミント数100、メールアドレスあり、Private Dropで設定してみました。ほかの設定もいくつか入力していますが、ここから先のお話とあまり関係がないため割愛します。
「Save」ボタンを押すと、さっそく完了通知のメールが届きました。
メールにはドロップしたNFTの追跡用URLや、プライベートドロップ編集用URLが記載されていました。下の画像は、追跡用URLページのスクリーンショットです。現在何個受け取ってもらえたかがわかるようです。

下の画像はプライベートドロップ編集用URLページのスクリーンショットです。「Request more codes」からは追加のミントが行えます。追加ミントを行う際は「edit code」の入力が必要です。

前回のメールから5分後、バッジの配布用リンクを記載したテキストファイルを添付したメールが届きました。

リンク1つにつき、1人のみミントできます。
このリンクをイベント参加者に個別に通知すれば、バッジの配布は完了です。
今回は100個ミントしたのですが、リンクが10個しかありませんでした。もしかすると、プライベートドロップだからかもしれません。ひとまずリンク先に飛んでみます。
バッジをもらう

バッジ配布用のURLにアクセスすると、このような画面が表示されます。
Ethereumのウォレットアドレスを入力してMintボタンを押すと、POAPのバッジがミントされます。「Free minthing in xDAI」をチェックONにしてミントすれば、ガス代はかかりません。
すべてのPOAPはxDAIでミントされますが、基本的にはPOAPプラットフォーム上で閲覧・管理されるものです。もしメインネットでPOAPを使用したい場合は「Free minthing in xDAI」のチェックをOFFにしなくてはなりません。その場合、ミント時にガス代の支払いが必要になります。
※ENS nameとEメールによるミントは動作確認していません。なお、公式のヘルプによると、Eメールアドレスを入力してもブロックチェーン上にPOAPは鋳造されないそうです。

ウォレットはMetaMask、WalletConnect、Portis、Coinbase Walletの4種類が使えるようです。いずれかを選択し、POAPプラットフォームとの接続許可、ガス代支払いの承認などの手続きを進めます。

ミントに成功すると、このような画面に遷移します。Browse collectionボタンから自身のPOAPのコレクション閲覧ページに飛べます。以上がバッジの受け取り方です。とってもかんたんですね!
既にバッジを受け取ったウォレットアドレスを指定してMintしようとすると、
「Badge couldn’t be claimed: Collector already claimed a code for this Event」(バッジが請求されませんでした: このイベントのコードはすでに登録済みです)
と拒否されます。このように、POAPはひとつのウォレットにつき同じバッジはひとつしかミントできない仕様になっています。既にバッジを持っている人が、バッジの受取に使ったリンク以外のリンクからミントしようとした場合も、もちろんミントは拒否されます。(動作確認済み)
と、一見順調に発行・受取できたふうにお伝えしたんだけれど、じつはバッジをもらうときに道を踏み外してしまったところがあるよ。悪い例として記録を残しておくよ。
(操作)
(1) xDAIのチェックを外した状態でミントボタンを押した(チェックを入れたつもりだった)。
(2) ガス代が無料じゃないことで間違いに気づき、ガス代支払いの承認を拒否した。
(結果)
Congratulation! とミント成功を祝われた。
ガス代は支払われていなかった。バッジは発行されていたが、Ethereumメインネットからは見えていない。※「Free minthing in xDAI」にチェックを入れてミントしたときと同じ状態になった
意図しない限り、「Free minthing in xDAI」のチェックを外した状態でミントボタンを押さないように気をつけましょう。もし誤操作でバッジがミントできない事態に陥った場合は、バッジ発行者に連絡しましょう。追加ミントなどの方法でご対応いただけるかもしれません。
POAPの実用性
POAP(Proof of Attendance Protocol)は、バッジ発行・収集のどちらにも実用性を持たせることができる仕組みです。
発行したバッジ目的の来客で現実世界・仮想空間のイベント会場は賑わいますし、バッジを集めることでホルダー自身の活動履歴の証明が増え、バッジの使い方によっては、POAP保有者限定のエアドロップ・コミュニティ・ライブイベント・商品販売への参加権のようなインセンティブを与えることも可能です。
POAPに持たせられる価値には「証明書としての価値」「チケットとしての価値」「コレクションとしての価値」「バッジそのものの価値」など、様々な可能性があります。
用途はNFTと異なる部分がありますが、これらの価値自体はPOAP特有のものではなく、NFT全般に共通したものです。NFTから今後生まれてくるユーティリティはPOAPにも影響を与えていくものと思われます。
POAPとは別に、POAPの仕組みをPolygonで使えるようにしたBADGEというサービスもあります。BADGE公式によると、Link発行に審査がなく、CSVダウンロード可能、OpenSeaで表示可能とのことです。もし参加証NFTの発行サービスにご興味ございましたらお試しください。
バッジを活用して丁寧なNFT生活、やっていこうね〜。