レポート

【銘柄一覧】ISO20022規格準拠の仮想通貨

おはようございます。フェネックです。

ISO20022規格のメッセージングに準拠する仮想通貨銘柄をリストアップします。

ここで取りあげる銘柄は、次の2種類に分かれます。

  • 規格に準拠する、または準拠可能と公表されている銘柄
  • 規格に準拠するかは公表されてはいないけれど、間接的に準拠するといえる銘柄

どちらも、公式情報および提携企業の情報のみをもとに選びました。

また、公式から直接いただいたご回答も選定基準にしました。

国際規格ISO20022の詳細は別記事をみてほしいよ〜。

まえがき

デジタルユーロの実装を主導する欧州中央銀行(ECB)の発行した、デジタルユーロに関する公開質問書へのINATBAの回答文書が2021年1月に公開されました。

2019年4月に発足したINATBA(International Association of Trusted Blockchain Applications)はヨーロッパが主な活動範囲だから、デジタルユーロの発行に関わっているよ。

INATBAはこの文書内でECBに対して、ISO20022メッセージに取引主体識別子(LEI: Legal Entity Identifier)を組込むことを義務づけるよう、繰り返し主張しています。※質問14への回答

これは、現在標準になっているSWIFTコード(BIC: Bank Identifier Code)は銀行用であり、FinTechなどの企業がISO20022に沿って決済メッセージングを標準化するためには固有の識別子が必要だ、という意見です。

具体的には、ISO17442に規程するLEIコード構造への準拠の義務化を要求しています。

INATBAは冒頭の記述で、文書内の回答は元中央銀行員、技術者、金融業者、政府関係者、ステーブルコインの専門家からのフィードバックを含む、INATBAメンバーの総意であるとしています。

このことから読み取れるのは、INATBAに所属する企業や団体が今後、ISO20022規格のメッセージングに何らかの方法で準拠していく流れにある、ということです。

(BICを銀行に割り当てているSWIFTもINATBAの一員だよ)

ISO20022メッセージングには自社開発で対応することもできるでしょうし、既に規格に準拠しているHyperledgerのようなプラットフォームを活用することもできると思います。おそらくは、後者が多いです。

仮想通貨銘柄の価値をISO20022規格目線で見極める際、その仮想通貨が「ISO20022規格準拠か」どうか以上に、「ISO20022エコシステムに参加しているか」どうかが大きな判断材料になってくると思います。

さっそく仮想通貨の紹介にいくよ。
規格に準拠している証拠や、どうやってISO20022エコシステムに参加しているかをお伝えしていくよ〜。

ISO20022準拠銘柄 – 公式

ISO20022規格に準拠する、または準拠可能と公表されている仮想通貨銘柄です。

ISO20022規格準拠銘柄のネットワーク上に構築された仮想通貨も公式としました。

$ALBT – AllianceBlock

AllianceBlock公式のサポートサイトに次の質問と回答が掲載されています。

質問: 「ALBTはISO20022に対応していますか?」
“Question: Will ALBT be ISO20022 compliant?”

回答: 「最初はそうではありませんが、当社のプロトコルで複数の金融機関を接続すれば、この規範に準拠することができます
“Answer: Not in the beginning but once we connect multiple financial institutions through our protocol we will be compliant with this norm.”

$GBEX – Globiance Exchange Token

公式サイトのトークン紹介ページで、GBEXがXDCに基づいて構築されていることが明示されています。

XinFinネットワークで作られているため、XDC同様ISO20022規格に準拠しています。

「より多くの取引処理可能、確認時間短縮、低料金、省エネの革新的なプロトコルXinFin XDCに基づいています

Based on the revolutionary protocol – XinFin XDC – which can handle more transaction, has a faster confirmation time, offers lower fees and consumes less energy.”

Globianceの創設者兼CEOのOliver Marco La Rosaさんは公式Telegramの参加メンバーに、GBEXがISO20022規格に準拠していることを発表済みだよ。

$SRX – StorX

SrorX公式サイトにSRXがXRC-20トークンであることが掲載されています。

XinFinネットワーク上に構築されていますので、XDC同様ISO20022規格に準拠しています。

XinFinブロックチェーンネットワークを搭載した分散型クラウドストレージ
“Distributed Cloud Storage Powered by XinFin Blockchain Network

StorXのメインネットはここにあり、SRXはStorXデータストレージ・マーケットプレイスを動かすXRC-20ユーティリティー・トークンです。
“The StorX mainnet is here and SRX is a XRC-20 utility token that powers StorX data storage Marketplace.”

$XDC – XinFin

XinFin公式サイトにISO20022規格とレガシーシステムとの相互運用性の記載があります。

「XinFinプライベートネットワークは、あらゆる企業のレガシーシステムを、ISO20022標準と互換性のあるXDCプロトコルとメッセージングを使用してブロックチェーンネットワークに接続します」

“XinFin Private Network lets any kind of enterprises connect their legacy systems with a Blockchain Network using the XDC Protocol and messaging compatible with ISO20022 standard.”

XDC NetworkがISO20022規格に準拠している根拠になる、いちばん古い情報は、探したなかだと2018年11月26日のYouTubeだったよ。公式・非公式合わせてだよ。

ISO 20022標準をサポートするXinFinプロトコルは、コアバンキングシステム、ERPシステム、SWIFTシステム、およびシステム間でやり取りされるさまざまな種類のデータの言語を話すことができます」

Supporting the ISO 20022 standard, XinFin protocol can speak the language of core banking systems, ERP systems, SWIFT systems & different kind of data that comes across systems.”

他にも探したけれど、間違っていたらごめんね。
XinFin公式のGitHub / Medium / YouTube / Linkedin / Twitterの全投稿と、非公式のTelegramと、あとウェブ検索とかした中でYouTubeのがいちばん古かったよ。

$XRP – Ripple

Ripple公式ウェブサイトの記事「ISO 20022: Shaping the Future of Cross-Border Payments」に、RippleNetがISO20022規格に当初から準拠している旨の記載があります。

「ISO20022は、世界の国境を越えた決済フローのグローバルスタンダードとして着実に浸透しています。リップル社はこの変化をリードしており、当社のネットワークであるRippleNetは当初からISO20022規格に準拠しています

“ISO 20022 is steadily becoming the global standard for the world’s cross-border payment flows. Ripple has been a leader in this shift and our network, RippleNet, has been aligned with ISO 20022 standards from the start.”

同記事で、Rippleが分散型台帳テクノロジー(DLT)に焦点を当てたISO20022のRegistration Management Group最初のメンバーであることが発表されています。

このメンバーシップによりRippleは、ISO20022規格の将来の方向性に貢献し、300社以上の顧客のニーズに応えることができます。また、国境を越える決済へのISO20022規格の適用や、標準化されたAPIにおけるDLTの使用に関して、彼らの経験と専門知識を共有することができるようになりました。

ISO20022準拠銘柄 – 非公式

ISO20022規格準拠と公表されていないものの、間接的に準拠する仮想通貨銘柄です。

他のブロックチェーンを経由するなどの方法でISO20022エコシステムに参加します。

$ALGO – Algorand

Linux Foundation

Linux FoundationとINATBAを通じて、AlgorandはISO20022と関わっています。

AlgorandはLinux Foundationのシルバー会員です。

Linux Foundationとは技術面での繋がりも強く、デジタルID認証のサポートを目的としたLinux Foundationのプロジェクト「DizmeIDFoundation」に創設メンバーとして参加しています。

Dizmeのトランザクションレイヤーとして、Algorandは機能します。

ちなみに、Dizmeで使われているHyperledgerシリーズは、Hyperledger Ariesです。

INATBA

AlgorandはLinux Foundation以外にも、INATBAに所属しています。

また、2021年5月にINATBAメンバーのALASTRIAに参加しました。

ALASTRIAは、分散型台帳技術・ブロックチェーン開発を通じてデジタル経済を推進する非営利団体。機関・自治体・技術パートナーが所属しています。LACChainもALASTRIAのメンバーです。

Algorandは一時期ISO20022のWikipediaに載ってた(しばらくして消された)から、公表してると思ってる人が多そうだねぇ。がんばって探したけど、公式発表は見つからなかったよ。Algorand Japanから直接頂いた回答によると、非公開とのことだよ〜。

$ETH – Ethereum

ConsenSys Quorum

ConsenSys Quorumの基になった、JPモルガンのQuorum(プライベートブロックチェーン)とConsenSysのHyperledger Besu(パブリックブロックチェーン。元の名前はPantheon)は、どちらもEthereumで構築されたプラットフォームです。ConsenSys Quorumも同様に、Ethereumネットワークへ接続できます。

Ethereumは、Hyperledger Besuで構築されたQuorumに接続してISO20022規格に準拠できます。

「Hyperledger Besuは、パブリックとプライベートの両方の許可されたネットワークのユースケースのために、企業が使いやすいように設計されたEthereumクライアントです」

“Hyperledger Besu is an Ethereum client designed to be enterprise-friendly for both public and private permissioned network use cases.”

HyperledgerがISO20022準拠である根拠は、SWIFTの発行した資料の記述です。

この図には、HyperledgerがISO/TC307に準拠するとともに、通信規格にISO20022を用いることが記載されています。ISO17442(LEIコード)、9362(SWIFTコード)、4217(通貨コード)も記載されています。

ISO9162にBusiness Identifier Codeって書かれてるけど、ISO9362の誤記だと思うよ。
ISO9162は液化石油ガス販売者の、購入者への情報提出に関する規格らしいよ。

同資料には、Fabric(IBM/Linux Foundation)・Iroha(Soramitsu)・Sawtooth Lake(Intel/Linux Foundation)がHyperledgerプロジェクトとして取り上げられています。

非営利団体The Linux Foundationの運営するクロスインダストリ(異業種連携)共同開発プロジェクトHyperledgerは2019年8月29日、Hyperledger Besuを正式に自身のプロジェクトとして発表しました。

そのため、2017年3月1日に発行されたSWIFTの資料にプロジェクト名は載っていませんが、現在は正式なプロジェクトとして認められています。ISO20022への準拠は明示されていませんが、HyperledgerがISO規格に対応している以上、他のプロジェクト同様に規格へ準拠している可能性が高いです。

なお、BesuはEnterprise Ethereum Alliance(EEA)仕様を実装しています。

SWIFTの資料がアップされているPyNX(Python tools for Nano-structures Xtallography)は、Pythonによる開発向けのライブラリを提供するウェブサイトです。

また、JPモルガンは2009年5月20日、ISO20022に準拠した支払開始および報告機能の提供を発表していました。元々ISO20022へ準拠していたJPモルガンが初期のQuorum開発段階でISO規格に準拠することは決して考えられないことではなく、むしろ、ConsenSysに長年戦略投資を続けていたJPモルガンのQuorumをHyperledger Besuと統合する以前から、ISO20022に準拠させていたと考えるのが自然です。

QuorumフォークであるXDCが早期からISO20022規格のメッセージングに準拠していたことも、BesuがHyperledgerの正式なプロジェクトになる以前から規格に準拠できていた裏付けになるかもしれません。

Hyperledger Cuctus

EthereumにはQuorumとの接続以外にもISO20022に準拠する手段があります。

富士通とAccentureによって開発され、Hyperledgerの正式なフレームワークに認定されたHyperledger CuctusをEthereumに接続すると、ISO20022規格に準拠するHyperledgerと通信できます。

「Hyperledger Cactusは、競合するブロックチェーンを新たに導入することなく、複数の分散型台帳上で取引を行うための、プラグイン式のエンタープライズグレードのフレームワークです」
「Hyperledger Cactus v0.4のリリースには、以下のモジュールが含まれています。
レジャープラグイン – 様々なDLTプラットフォームと通信するためのメカニズム (Hyperledger Besu, Corda, Corda OS, Hyperledger Fabric, Go-Ethereum, Quorum, Hyperledger Sawtooth)」

“The Hyperledger Cactus v0.4 release includes the following modules:
Ledger Plugins – the mechanism to communicate with various DLT platforms (Hyperledger Besu, Corda, Corda OS, Hyperledger Fabric, Go-Ethereum, Quorum, Hyperledger Sawtooth)”
“Hyperledger Cactus is a pluggable enterprise-grade framework to transact on multiple distributed ledgers without introducing yet another competing blockchain.”

Cordaは、ドキュメント「Payments-core Alpha」でISO20022への準拠について言及しています。

「これはISO 20022メッセージング標準を用いて実現されており、Payments-core CorDappは、PSPとのAPI接続の際に、生のXMLからマーシャリング(異なる技術基盤のプログラム間でデータ交換・機能呼出しできるよう、データ形式を変換すること)されます」

“This is made possible using the ISO 20022 messaging standard, which is marshalled from raw XML by the Payments-core CorDapp as the API connection is made to the PSP.”

ドキュメント内に、CorDappの初期バージョンは実験的に使用されるものであり、商業利用に向けた開発の前にCordaチームとの話合いが必要である旨の記載があります。

将来的にはISO20022決済に対応する予定のようで、2020年12月30日の「オーストラリア財務省による決済システムの見直し」(“R3 Response to Australian Treasury’s Review of the Payments System”)で財務省の質問に対し、R3の以下の回答が記載されています。

「注目すべきは、CordaがISO20022規格をサポートしていることです。実際、当社はパートナー企業の一つであるIdentitii社と協力して、Corda上にアプリケーションを作成し、MTと呼ばれる旧来のメッセージ規格から、新しいISO20022規格に、データの損失や切り捨てのリスクなしに変換できるようにしています」

“It is worth noting that Corda supports the ISO 20022 standard. In fact, we are working with one of our partners, Identitii, to create an application on Corda to convert cross border payment messages from the old messaging standard, known as message type (MT), to the new ISO 20022 standard using existing systems without the risk of data loss or truncation.”

$HBAR – Hedera Hashgraph

Hyperledger Fabric/Corda

Hedera Hashgraphは、Linux Foundationのシルバー会員兼Hyperledgerの一般会員です。

Hedera Consensus Serviceはネットワーク内のトランザクションに信頼できるタイムスタンプを付与して、公正に順序付けるAPI(Application Programming Interface)です。

HCSは2021年9月現在、パーミッションネットワークの分散型注文機能をCordaとHyperledgerに、パーミッションネットワークとコンソーシアムの相互接続機能をHyperledgerに、それぞれ提供しています。

TechPreview

HCSのホワイトペーパーの最初の共著者で、Hedera Governing CouncilのメンバーであるIBMはHCSのモデルを活用して、Hyperledger Fabricの商用ディストリビューションTechPreviewを発表しました。

HCSは、複数DLT間のログ順序記録を維持することもできるQuant NetworkのOverledgerと異なり、単一DLT内で利用するAPIです。

Hederaは2021年9月現在パーミッションブロックチェーンだけど、非中央集権化実現に向けてパーミッションレスブロックチェーンに、将来的に移ってくことを公表しているよ。HCSも今後、CordaとHyperledger以外のブロックチェーンとの接続にも対応していくかもしれないねぇ。

$MIOTA – IOTA

Hyperledger Fabric

IOTAの公式ブログに掲載された「Hyperledger FabricとIOTA Tangleの統合(Integrate Hyperledger Fabric with the IOTA Tangle)」内に、Hyperledger FabricとIOTAを統合する記載があります。

この統合により、IOTAはISO20022エコシステムに参加できます。

「このブリッジは、IOTAコネクターとして機能することで、Hyperledger FabricとIOTAの両方の機能を直接統合することを可能にします。これにより、IOTA Tangleは、Hyperledger Fabricベースの許可されたシステム間の結合組織として機能し、サイロ化された許可されたシステムとのより円滑なデータ共有と検証を可能にします」

“This bridge will enable direct integrations of both Hyperledger Fabric and IOTA capabilities together by functioning as an IOTA Connector. By doing this it allows the IOTA Tangle to act as a connective tissue between permissioned Hyperledger Fabric-based systems, and allows for more fluid data sharing and validation with siloed permissioned systems.”

$QNT – Quant Network

Quant Network

Overledgerの公式ページに相互運用性や規格準拠、セキュリティなどに関する記載があります。

「あらゆるシステムをあらゆるネットワークや新旧のDLTに接続する、ユニバーサルな相互運用性を実現する、分散型台帳のためのAPIゲートウェイです」

“… an API Gateway for distributed ledgers, it delivers universal interoperability, connecting any system to any network or any DLT, old or new.”

「Overledgerは、Quant社のGilbert Verdian氏の主導しているISO DLT相互運用性規格に完全に準拠しており、最新のイノベーション導入のため継続的に進化しています」だそうだよ。「ISO DLT相互運用性規格」は、ISOのTC307のことだねぇ。

Quant NetworkはISO/TC307創設者のGilbert Verdianさんの立ち上げたプロジェクトです。

TC307は2015年、ブロックチェーン技術の標準化のために発足したISOの委員会です。Ethereumの項でご紹介したSWIFTの資料を参考にすると、ISO20022やISO17442と連携して標準化を進めているようです。

Quant NetworkのMediumでは、TC307を基にOverledgerを制作したことが明かされています。Quantのマルチチェーン構築がTC307の標準化原則や学術研究と密接に関わっているのが、投稿を読むとわかります。

また、QuantはINATBAの創設メンバーであるのと同時に、Linux Foundation/Hyperledgerの会員です。

INATBA・Linux Foundation・HyperledgerとTC307との連携を、Quant Networkは促進します。

2019年3月6日にブリュッセルで行われたINATBA設立の会合では、イベントの公式署名者として創設メンバー105人の中からGilbertさんが選ばれました。まさに、ブロックチェーン規格の立役者というわけです。

Quantは通常のOverledger Networkと並行して、新機能開発のテストなどにも利用される、費用対効果の高いDLTネイティブのOverledger Community Networkを提供しています。2021年9月現在、Ethereum、XRP Ledger、Bitcoin、Hyperledger Fabric、Corda、Quorumの各DLTをサポートしています。

このサービスを利用することで、各DLTの開発者は早期にQuantの新機能の恩恵を受けられると紹介されています。Quantの参加するエコシステムの範囲を、早い段階から広げることにもつながります。

また、QNTはEthereum基盤でつくられたERC-20規格のトークンですが、そのほかの規格を基盤にすることができます。そのため、例えば機能面でETHの上位互換であるXDCのXRC-20などへ移行可能です。

Overledgerのソフトウェア特許は「1つまたは複数のブロックチェーン上のトランザクションの順序記録を維持するためのコンピュータ実装方法」に関係するものだよ。その特許技術が本質で、相互運用性が結果ってことだね。ISO規格のことは載ってなさそうだねぇ。

イングランド銀行/Pay.UK

Quant NetworkはPay.UKの保証人に任命されました。英国の大手決済機関Pay.UKはイングランド銀行と提携して、ISO20022グローバルメッセージング標準の採用計画に2017年から取り組んでいます。

両者とも、ISO20022の登録管理グループ(RMG: Registration Management Group)に所属しています。

Pay.UKで決済の標準化部門を先導するJames Whittleさんは、Pay.UKの代表としてISO20022規格の策定に携わっていらっしゃるほか、ISO/TC68やSWIFT、規制当局、主要団体などとの交渉を担当されています。

LACChain

LACChainは、ラテンアメリカ・カリブ海地域のブロックチェーンエコシステム発展のための世界同盟。同地域のイノベーション促進・生活改善などを目指す米州開発銀行グループのIDBラボが主体です。

参加メンバー全員がISO/TC307の決議をもとに活動を行っています。

LACChainはHyperledger Besu基盤なので、ISO20022規格に準拠しています。

公式未発表だから詳しくは載せないけど、ほかにも、スイス国立銀行(SNB)と金融インフラ事業者SIXとで共同実施しているProject Helvetiaを調べてみるといいよ。

$USDC – Circle

Circle

USDCはマルチチェーンのステーブルコインです。2021年9月現在、Ethereum・Algorand・Solana・Stellar・TRONの各ネットワーク上に構築されています。

USDCは、自身が構築されたブロックチェーンを通じてISO20022エコシステムと繋がることができます。

Circle自体は、USDCのISO20022規格準拠について公式発表をしていません。

Multichain USDCのページに「USDC: 複数のブロックチェーンの相互運用性を強化するマルチブロックチェーン Ethereumと第3世代のパブリックチェーンをまたいで構築するときに、単一の標準を活用します」って書いてあったけれど、開発者向けの、USDCのAPIのリファレンスのページで探してみても別のISO規格しか見つからなかったよ。もしかすると、このことを言ってるのかもしれないねぇ。

ISO4217は通貨を表すコードの規格で、ISO8601は日付と時刻の表記の規格みたいだよ。

$XLM – Stellar

Bitt/Hyperledger Fabric

StellarはBittのブロックチェーン技術を通じて、ISO20022エコシステムと繋がることができます。

StellarとBittは、協力してCBDC環境を構築するためにパートナーシップを結んでいます。そのため、東カリブ中央銀行(ECCB)のCBDCをHyperledger Fabricで構築したBittの技術を活用することができます。

公式発表がないため、Stellar自身がISO20022メッセージングに準拠しているかは不明ですが、StellarをベースにしてつくられたBittのデジタル通貨管理システム(DCMS)で構築されたDCash(東カリブ中央銀行のCBDC)の技術側面について、Bittの広報担当者はCointelegraphに次のように語っています。

「当社のアーキテクチャにより、当社のソリューションはブロックチェーンに依存しないものになっています」

“Our architecture allows our solution to be blockchain agnostic.”

この発言は、BittのDCMSがHyperledger Fabric以外でも構築可能であることを示唆しています。それは、DCMSの汎用性の高さと同時に、その相互互換性がStellarの可能性を広げることを意味します。

あとがき

公式情報をもとにした、ISO20022規格準拠の仮想通貨銘柄のまとめを求めて世界中のサイトを旅したのですが、どうしても見つからなかったので家に帰って自分で作っちゃいました。

調べてみていちばん驚いたのが、Global Blockchain Business Council(GBBC)・Linux Foundation・Hyperledger・INATBA・Algorand・Hedera Hashgraphのような連合や財団の、予想以上の巨大さです。

ISO20022準拠は相互互換性のためのひとつの手段ですが、既にパートナーシップを結んだ集団が、お互いの生態系を維持させながら発展していくこの流れは、国際規格による標準化よりも遥かに速く思われました。

たぶんですが、仮想通貨は今後、規制という枠組みの中でこれまで以上にガラパゴス化していきます

各メーカーの用途・目的に応じてユーザライクに構築された個性を、そのハブとなる既存のコミュニティとネットワーク、Hyperledgerシリーズの製品や、ConsenSys Quorum、R3 Corda、OnyxのLiinkなどが包みこみ、効率化が進められる中で、より実使用に適した多様な製品が生まれてくるような可能性を感じました。

どんなブロックチェーンにも相互互換性をもたらすQuant Networkの役割も、相当に大きいものです。規制との共存を計っている特化型プラットフォームへの投資ボリュームは、今後さらに増える気がします。

この記事がすこしでも灌漑工事みたいな役目を果たして、あなたの家のクリプト畑に水を引けたら嬉しいです。

今日取り上げたのは、ISO20022メッセージングに対応するほんの一部の仮想通貨だよ。ほかの銘柄について調べたら、また記事を書くね〜。

下の記事では、おすすめの国内の仮想通貨取引所について解説しています。

低コストで投資できるか? どんなことが起きても資産を守ることができるか? に主眼を置いて、取引所や親会社の直近数年間の決算公告に目を通したり、企業の資産額をチェックして、経営状態、国内からの撤退や破綻のリスク、セキュリティ、ハッキング被害の補償などの情報をまとめました。

仮想通貨投資が初めてのかたでも、慣れていらっしゃるかたでもお役に立てて頂けるよう、一歩踏み込んだ内容まで言及しています。お金の出入り口を確実に確保するための参考にしてもらえると嬉しいです。